2025年11月4日
シリーズ:人が育ち、組織が動く人事制度づくり④

第4回

人事評価制度は“技術的課題”ではなく“適応課題”である

 

人事評価制度を導入すれば社員が自ら頑張るようになる――そう信じて制度を整える経営者は少なくありません。

「制度を作る → 評価する → 給与に反映する → お金がほしいから行動が変わる」という期待は、報酬によって行動をコントロールしようとする“技術的課題”の発想です。

 

しかし現実は、評価や給与だけでは人は動きません。

制度を導入しても形骸化し、「やっても意味がない」「評価のための仕事になる」と不満だけが残るケースが多いのが実状です。

人が主体的に動かない根本原因は、給与ではなく、仕事への姿勢や価値観、成長欲求といった“適応課題”にあるからです。

人が「成長したい」「役に立ちたい」「貢献したい」と思える状態が整ってこそ、制度は初めて機能します。

つまり、内発的動機づけを育てることが不可欠なのです。

 

そのため人事評価制度は、次の“土台”とセットで考える必要があります。

経営理念(何のために働くのか)

経営戦略(どこに向かうのか)

組織設計(役割・責任の明確化)

業務フロー(成果が生まれる仕組み)

成果の見える化(成長を実感できる場)

この土台が整ってはじめて、対話や振り返りが機能し、行動変容が生まれます。

そして、組織の成熟度に合わせて制度を設計することこそ、形骸化を防ぐ最大のポイントです。

 

次回からは、いよいよ実践編。

人事評価制度をどのように設計していくのか、具体的なステップを6回に分けてお届けします。

 


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