
昨今、健康保険証の廃止についてのニュースが世間を騒がせています。病院に行くと使える健康保険証ですが、よくある疑問や間違いについてお話いたします。
▎病院に行きたいけど保険証がまだ届かない!
入退社の多い3月や4月、ゴールデンウイークのある5月、連休の多い月の保険証発行には時間がかかります。そもそも申請は、採用や扶養が発生してからの手続きになるため、事前に用意しておくわけにはいかないのです。協会けんぽでは普通の月ですと、申請→審査→発行→郵送と1週間から10日ほどかかる印象です。その間に子供が発熱して病院へ・・・となったとき、どうすればいいでしょうか。以下の2つの方法があります。(協会けんぽの場合)
① 自費診療10割全額支払う |
その場では10割全額支払いますが、後日協会けんぽへ療養費の支給申請をすることで保険分(7割または8割)は返金されます。あるいは保険証発行後、医療機関によっては同月中に提示することで保険分を返金してもらえる場合があります。こればっかりは医療機関ごとに事情が異なりますので、受診前に確認が必要です。病院へ行くようなときは時間も余裕もないので、この①の方法がおすすめです。
②「健康保険被保険者資格証明書」を発行してもらう |
「健康保険被保険者資格証明書」は管轄の年金事務所で「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を提出することで発行してもらえます。これを、保険証の代わりとして使用することが可能です。ただしこれを発行するには加入・異動の申請と同時、あるいは申請済であることが必要です。郵送でも申請可能ですが、それが届く前に保険証が届きそうです。緊急の場合は窓口へ行けば即日発行してもらえますが、まずは会社に伝え、申請状況を年金事務所へ確認してもらった方が良いかもしれません。
▎喪失したら使えない
以上のように、採用や扶養発生日から使えるものですが、退職後はもちろん使えません。「まだ会社が返してと言わないので使えるだろう」「月の途中退職だから月末まで使えるだろう」はよくある間違いです。退職日の翌日からは使えません。被保険者はもちろん、被扶養者(家族)も使用できなくなります。
▎退職後の使用は返還を求められる
喪失後に使用した場合、窓口では3割支払いで済んでしまう可能性があります。そして、7割については協会けんぽが病院へいったん立替えることになります。そのため、後日協会けんぽより使用した元従業員へその分の返還請求がなされます。結果10割負担となります(当然ですが)。
退職者の保険証は、会社が協会けんぽへ返却しなければなりません。従業員は、退職の際に家族含めた全員分、扶養から外れた場合はその方の保険証を会社へ返しましょう。そして、会社も必ず従業員へ返却を求めましょう。
▎まとめ
1.保険証が届いていないときの受診は、“いったん10割負担”か“証明書の発行”
2.退職日の翌日からは、自分も家族も使えない
保険証が今後どうなるかはまだわかりませんが、医療費を支え合う国民皆保険制度を継続させていくためにもみんなでルールを守って使っていきましょう。