
労働基準監督署から調査に来る、といった電話を受けた経験はありますでしょうか?または「臨検」と称して突然訪問されたことはありませんか?本日は臨検についてお話いたします。
▎臨検監督は3つに分かれる
臨検の正式名称は「臨検監督」。会社へ訪問して機械・設備や帳簿などを検査し、労働条件を確認する立ち入り調査のことです。労働基準監督署の臨検監督には3つ種類があります。
①定期監督 |
「地方労働行政運営方針」に沿って行われる調査です。地方労働行政運営方針とは、その年度の労働行政の重点課題を示したもので、果たすべき役割とその実行に向けた取組について策定されています。課題や方針から対象となる事業場を選別したうえで行うものなので、特に後ろめたい理由があり選ばれるわけではありません。
②申告監督 |
労働者からの申告があった際に、事実を確認するために入る調査のことです。
③災害時監督 |
労働災害が起こった際に、原因調査・是正・再発防止をするための調査です。
▎定期監督での違反率は68.2%
労働基準監督署等により毎年発行されている様々な活動の実績をまとめた「労働基準監督年報」によると、令和3年に労働基準監督官が会社に来るような調査(監督)は、149,379件行われております。そして、監督署が『定期監督等(災害時監督含む)』を実施した事業場のうち、何らかの法違反があったものは83,212件、違反率は68.2%でした。およそ7割近くの事業場で違反が発見され、指導を受けていることが分かります。
これらの違反事業場あたりの法違反の内容をみると、以下になります。
・労働安全衛生法(安全基準)→28.6%
・労働安全衛生法(健康診断)→26.6%
・労働基準法(労働時間)→21.6%
・労働基準法(割増賃金)→19.9%
・労働基準法(賃金台帳)→12.1%
・労働基準法(労働条件の明示)→12.0%
安全基準、健康診断、労働時間については、特に気をつけた方がいい結果となっています。労働者の安全のための措置はできていますか?該当者に健康診断を実施していますか?労働時間を守れていますか?一度チェックしてみましょう。
また、上位には入っていませんが、年次有給休暇については令和2年より2倍以上の違反になっています。平成31年より年5日取得義務も始まっています。年休管理簿を使用し、確実な取得を促しましょう。
▎まとめ
調査はできるだけ受けたくないと考える会社は多いと思いますが、事業者側の努力で回避できるものではありません。違反を指摘されてより深刻な対処が必要とならないよう、日頃から関連する法律の改正等に注意し、確認することが重要になります。まずは上記違反の多いものから、一度見直してみてはいかがでしょうか。