
「建設業で独立したい」「法人を設立して建設会社を始めたい」といったご相談をよくいただきます。
その際に必要となる代表的な手続きを、わかりやすくまとめました。
■ 法人設立時に必要な社会保険・労働保険の手続き
まず、業種に関わらず、法人を設立した場合には以下の加入手続きが必要です。
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社会保険(健康保険・厚生年金)
→ 年金事務所に加入申請を行います。 -
労働保険(労災保険・雇用保険)
→ 人を雇う場合は必須です。所轄の労働基準監督署とハローワークで手続きを行います。
■ 建設業ならではの「元請労災」(一括有期事業の労災保険)
元請として協力会社に工事を発注する場合は、「一括有期事業に係る労災保険」、いわゆる「元請労災」への加入が必要です。
この制度では、工事現場で協力会社の作業員が事故に遭った場合でも、保険金は元請の労災保険から支払われる仕組みになっています。
したがって、元請として工事を行う際は、労災保険の「成立届」の提出を忘れてはいけません。
■ 労災事故が発生した場合の報告義務にも注意!
開業時の手続きではありませんが、工事現場で社員やアルバイトが被災し、4日以上仕事を休んだ場合は、
「労働者死傷病報告」の提出が義務付けられています(提出先:所轄の労働基準監督署)。
ここでよくある誤解が、
「元請が労災保険に入っているから、事故報告も元請が出すのでは?」
というものです。
しかし、「労働者死傷病報告」は、あくまで被災した労働者を雇用している会社(雇用主)が提出します。
たとえ元請の労災保険が使われる場合でも、報告義務は下請を含めた各雇用主にあります。
■ 建設現場での事故対応には実務知識が不可欠
現場での事故は、どちらの責任か明確にしづらく、元請と協力会社の間でトラブルになることもあります。
このような場合、建設業特有の労災・保険対応に関する知識と経験が問われます。
当事務所では、建設業に精通した社労士が、こうした現場特有の手続きやトラブルにも対応しています。
安心して本業に集中いただけるよう、実務を踏まえてしっかりとサポートいたします。