過去号で何度か育児について育児介護休業法の改正情報をお伝えしてきましたが、実は介護についても4/1から改正があります。
そこで現行制度を確認した上で変更点をみていきたいと思います。
▎現行制度
要介護状態(身体的又は精神的な病気や怪我で、2週間以上の期間にわたり常時介護を要する状態)にある2親等以内の親族がいる場合、条件を満たせば、従業員は次の制度を利用できます。
・介護休業
対象家族1人につき3回まで、計93日間の休業
・介護休暇
対象家族1人の場合年5日、2人以上の場合は年10日の休暇
・短時間勤務等
時短勤務・時差出勤など会社が採用した制度の利用
・残業の免除(所定外残業・法定時間外残業)・深夜就業の制限
▎2024年4月からの主な変更点(4つ)
①介護休暇対象の制限範囲
介護休暇は協定を結ぶことで、特定の人を休暇取得の対象外とすることができますが、その範囲が、4月からは「週所定労働日数が2日以下の者」だけになります。
②介護両立支援制度の個別周知・意向確認
従業員が、対象家族が要介護状態になったことを申出たとき、介護の両立支援制度(前項の4制度)をその人に個別に知らせ、制度を利用するか意向を確認する事が義務化されます。
③介護両立支援制度の早期情報提供
従業員が40歳に達したとき、②で周知が求められる情報と同じ情報を提供することが義務付けられます。
④介護両立支援制度を利用しやすい環境の整備
介護の両立支援制度についての【(1)研修(2) 相談窓口の設置(3)事例収集・事例の提供(4)介護休業等に係る会社の方針の周知】の中から1つ以上実施し、介護両立支援制度を利用しやすい環境を整備する必要があります。
2025年には団塊の世代が75歳以上となります。75歳以上では要介護認定を受ける割合がぐっと上昇します。また、老々介護等の問題から、働きながら介護をしなければならない人も増えることが予想されます。
今回の改正はそれを踏まえ、従来ある介護に係る制度を使い易い環境を整えることに着目した改正のように思います。