
マネジメントを行う上で、人事は大きなポイントですが、個々の社員の力量の把握や、ベテランの処遇、若手の抜擢等、頭を悩ませる課題は多いいかと思います。かつて落合監督は、在任中の8年間の内、優勝4回、2位3回、3位1回、特段大きな補強を行ったわけではないのに、これ程の実績を上げた秘訣は何か。「嫌われた監督」を読んで、秘訣は、適材適所の人事にあったように感じました。
■荒木のコンバート、失策数増加、しかしチーム優勝?
2004年から2009年にかけて、中日のセカンドの荒木とショートの井端は、最強の二遊間コンビで世間は、「アライバ・コンビ」と呼び、ゴールデングラブ賞を6年連続でとっていました。ところが、落合監督は、2011年に、井端をセカンドに、荒木をショートにコンバート、肩の故障を抱える荒木は失策を重ね、世間は、落合監督のこのコンバートを批判しました。しかしチームはリーグ制覇しました。
秘訣1:だれの目にも映っていないことを観る なぜ、コンバートしたのか、なぜ優勝できたのか、著者の鈴木忠平氏は落合監督に尋ねました。すると、次の回答が返ってきました。 「俺は選手の動きを一枚の絵にするんだ。毎日、同じ場所から眺めていると頭や手や足が最初にあったところからズレていることがある。そうしたら、その選手の動きはおかしいってことなんだ。どんな選手も歳を重ねると足の動きが落ちるが、荒木だけは落ちなかった。」 そこで、鈴木氏は、荒木の足が、外野に抜けるヒットを防いでいたことに気づきました。
秘訣2:孤独で決断する 経営者は、人事を考えるとき、3年先、5年先、10年先を見据える必要があります。現状をあたりまえと思った瞬間、組織は陳腐化していきます。経営者にしか見えないことをしっかり見て、孤独で決断する。これが必要かもしれません。落合監督の、このコンバートは、人事について一つのヒントがあるように思います。 |
「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」鈴木忠平 から