新年度を迎え、新しい職場で働かれたり、長年働いた職場を離れたり、たくさんの方が新しい道に進まれていることでしょう。今回は退職後の健康保険についてお話しします。
日本では、空白を作らず引き続き何らかの健康保険制度への加入が義務づけられています。退職後は自身の状況に応じて手続きをする必要があります。
▎公的保険の種類
ケガや病気などの日常生活に潜む様々なリスクに備えるため、公的保険が存在しています。大きく分けて以下のようになります。
加入することで、病気やケガなどで受診する際の医療費が一部軽減されたり、一定期間働けなくなったときに本人やその家族の生活を保障してくれる制度などがあります。
また、75歳以上の方については、一律後期高齢者医療制度での扱いになります。
▎協会けんぽから退職の場合
協会けんぽから退職する場合には、次の健康保険をどうするか決める必要があります。
①引き続き再就職
1日の空白もなく再就職する場合は、新しい職場で資格取得の手続きをしてもらえます。保険料は引き続き会社との折半です。(協会けんぽまたは健保組合の場合)
②再就職せず、協会けんぽの任意継続被保険者
退職日までに被保険者期間が継続して2カ月以上あり、退職日の翌日から20日以内に自身で申出書を提出することで、最長2年間加入できます。保険料は全額自己負担になるため退職時保険料の約2倍になりますが、家族を扶養にすることもできます。
③再就職せず、国民健康保険の被保険者
市区町村ごとに条件は異なりますが、自身で国民健康保険の窓口より届出を行います。扶養の概念はありませんので、一緒に入っていた配偶者や子供も「被保険者」として加入し、その分の保険料を支払う必要があります。
④再就職せず、家族の被扶養者
被扶養者としての認定基準を満たしていれば、家族の健康保険の被扶養者となります。被保険者の勤務先へ伝えることで手続きをしてもらえます。被扶養者としての保険料の負担はありません。
▎任意継続か国保か…
できるだけ保険料を安く抑えたい、というのはみなさんが抱える悩みです。もちろん扶養となれば自身の保険料はかかりませんので、一番安くなります。迷うのは“任意継続“か”国保“かでしょうか。
退職時の標準報酬月額や家族の人数、お住いの地域によりケースは様々です。任意継続では2年間の保険料は変わりません。国民健康保険の場合は均等割と所得割で計算され、家族の加入者が多ければ多いほど負担は大きいです。
給付など、サービスが受けられるかにも違いがありますので、よく確認して選択する必要があります。
任意継続については加入できる期間に制限があります。相違点についてよく理解し、十分に比較・検討を行った上で加入先を選ぶようにしましょう。